目の前に広がる世界に身をゆだね、その中に浸かることで、
純粋な自分になれることに気がついた。
休日の情景は、とても穏やかで、大人も子どもも関係なく、
全てが平等で、同じ時間を共有することを楽しんでいる。
この世界の美しく微笑ましい瞬間を
写真は、いつまでも残しておける。
世界と同化したいと思い、10年かけて「HOLIDAY」を作った。
写真をはじめた頃の思いや、
いつまでも写真にまっすぐな気持ちを持ち続け、
変わることのない自分と向き合っていきたい。
花火の写真を撮ることには、抵抗があった。
誰が撮っても、それなりに綺麗に撮れ、オリジナリティーを探すことができなかった。
周りの風景を入れて撮影したものでしか個性をだせないものが多く、
花火単体での美しさと向き合って表現するのは難しいと思っていた。
2012年、本格的にデジタルカメラでの作品制作を始めた。
今までのフィルム写真とは違い、PCモニター上では細部まではっきりと見えた。
アナログ写真とは圧倒的に違う解像度という概念が、そこにはあった。
写真=解像度。高解像度でみたことがないものを撮影しようと思った。
CCDが光を電気に変換し、画像信号をメディアに記録し、再生する。
すべて電子的過程で行うデジタル写真は、
カメラという箱のなかに小さな宇宙をつくっているように感じた。
その年の夏。多摩川の花火大会にいった。
そこで、この「花火」のシリーズの核となる写真を撮影した。
一瞬の爆発から生み出させれる無数の美しさは、まるで宇宙を見ているかのようだった。
一枚一枚表情が違い、唯一無二の存在であり、
無限に広がる空間と時間を「花火」のなかにみた。
「花火」の作品は、宇宙への憧れを表現している。
画面でしか見たことない宇宙を、花火と写真と使って具現化している。
もしいつか宇宙にいくことがあれば、どんな光がそこにはあるのだろう。
ひときわ輝きを放つ光景を、永遠に撮影できる気がする。