Nobuto Osakabe Photographer

vol.4 輝き

高3年の夏、僕は「写真」に出会った。
あの時、夢中になった感覚を、今も求め続けている。

当時、高校卒業後の進路や将来のことを全く想像することができなかった。
高3の5月くらいまでは部活に集中していたので、先のことを考えずに済んでいたけど、部活も引退し、目の前に進路という文字がはっきりと見えた時、本当にどうしようか悩んでいた。今までちゃんと勉強をしてこなかったツケで、とりあえず一般の大学を受験するという選択肢が僕にはなく、とにかく自分が本当に楽しいと思えるものを真剣に探していた。

あれは、渋谷の写真専門学校のオープンキャンパスに参加した時だった。オープンキャンパスは2日間あって、1日目はカメラを持って渋谷の街を自由に撮る。これがすごく楽しかった。静岡から出てきた僕は、渋谷という街が新鮮で、気持ちが高ぶり、シャッターを切り続けていた。35mmのモノクロフィルムを2本渡されて、いってこいって感じだったが、あっと言う間に撮りきってしまっていた。撮影済みのフィルムを学校に提出して、その日は終了。
2日目は、前日に撮影したフィルムの中から自分が好きな写真を一枚選びプリントする。フィルムは、学校側で現像してネガの状態になっていた。まず、暗室でコンタクトシートを作る。この日が記念すべき僕の暗室デビューの日。作業の手順はもちろんだけど、そこらへんにある何気ない道具類まで、本当に全てがキラキラしてみえた。僕の目は輝いていた。作業の過程は、学校の講師の人に教わりながら進めていくのだが、初心者の僕には何がなんだか全くわからなかったけど、ただ楽しいという感情が、常に体から溢れ出していた。
この時に出来上がった写真を忘れたことはない。
プリント自体はどこにいってしまったかわからないけど、頭の中に焼き付いていて、いい写真だなと今も思う。
この日があったから、今日の僕があるとはっきりと言える。
この日の楽しさが、今もずっと続いている。