Nobuto Osakabe Photographer

vol.8 Many countries have respective different culture.

イタリアからロンドンに渡った。
ロンドンは、寒く冷たくて少し暗い感じがした。
天気の悪い日が多く、空がどんよりしているのがデフォルトのようだ。
初日と2日目はあまり天気に恵まれなかったが、3日目は朝から快晴。
朝6時に目が覚めたので、暖かい格好をして7時にはホテルを出た。テムズ川沿いを歩き、ビック・ベンを目指した。
海外に行くと、朝に散歩しながら写真を撮る。あまり治安が良くない場所でも、朝から悪さをする人はあまりいないと思っている。
ウォータールー橋に差し掛かったとき、丁度、朝日が昇って来た。太陽の光って本当に暖かい。日に当たるだけで体温が上がる気がする。
有名な観覧車の下を歩いたあたりで、念願のビック・ベンが見えていきた。けど、何か違う。遠くから見ても形が少し違う。ネオゴシック建築の96.3メートルの時計台が足場に覆われ、ただの寸胴体型になっていた。残念ながら、現在修繕中。ウェストミンスター宮殿の一部も修理していて布に覆われている。それでも朝の光に照らされた大英帝国のシンボルは圧巻で、イギリスの王室の圧倒的な権力を感じた。現在も残っているイギリスの宮殿、寺院、タワー、すべてがかっこいい。石の建築物が日本には多くないので、特にかっこよく感じる。重厚でシャープで壮大なスケール。庶民の僕には想像できない暮らしがそこにはあるんだろう。
今回行きたかった場所の一つ、ソーホーにある「The Photographers' Gallery」。展示されていたのは「Feast for the Eyes – The Story of Food in Photography」。とてもよかった。食べものをテーマにした様々な写真家の作品が展示されていた。食べることに向き合って作品を作るのは、「生きていること」を表現していると思う。食というのは、とても身近で生活が顕著にあらわれるテーマだと思う。ソーホーにはギャラリーや洋服や雑貨屋などひしめき合っていて、とても活気があった。ブラックフライデーも重なって、買い物客で溢れていた。でもロンドンにあるものは大概東京にもあって、ロンドンにしかないものってなかなか難しい。そのあとはThe National Gallery「Gauguin Portraits」を見て、テムズ川沿いをのんびり歩きながらホテルに戻った。途中露店で食べたチキンティカが美味しかった。スパイスが特に美味しい。辛さより肉と野菜の旨味が出ていて、あっという間に食べてしまった。大道芸人がマイクパフォーマンスをしていて、みんなが大爆笑で見ていた。僕も言葉があまりわからなかったけど、そのみんなが笑っている雰囲気に笑ってしまった。
同じ時間に僕のいた場所から2kmくらいのロンドン橋でテロが起こった。2人が亡くなって、3人が怪我をした。犯人は銃殺された。
ヘリが数機上空を飛んでいた。パトカーや緊急車両のサイレンが鳴り響いていた。
僕の穏やかな時間が台無しになってしまった。