Nobuto Osakabe Photographer

ホリデー

11月25日に発売された「暮しの手帖3号」をもって、雑誌での「ホリデー」の連載が終了した。
年内でこの企画が終了するという話を聞いたのは、今年の夏。突然の編集長からの連絡でとても残念に思ったが、その際に編集長の退任の話も聞き、それならしょうがないかなと思った。
写真の連載をしない?という打診も、編集長から直々に話を頂いていた。それが2017年12月。2018年の年始に企画会議のようなものをした。僕の写真集の「HOLIDAY」をとても好きと言ってくれていて、とても自由に写真を掲載していく企画を与えてくれた。見開き2ページで1枚だけ写真を載せる。タイトルと名前以外の文字はなし。とても潔い贅沢なページになった。こんな素晴らしい機会をいただけて、とても感謝している。

2018年の夏に「暮しの手帖95号」で巻頭5ページに特集として「ホリデー」を掲載した。その次号から連載が始まった。暮しの手帖は2か月に1回刊行。年6回刊行する雑誌。新しい作品を発表していくには、とてもゆったりとしたペースで、心地よく進めることができた。毎回3.4点の掲載候補の写真を持ち込み、僕、編集長、担当編集者、デザイナーの4名で多数決をして写真を決めていった。僕としては、持っていく候補の写真は全部気に入っている写真なので、どれが選ばれてもよかったけど、写真を選ぶ会に参加する理由は、写真か決まる瞬間がいつもうれしかったからだ。

「暮しの手帖」という雑誌は、作り手と読者との距離がとても近いと思う。作る方は常に読者の方を向いているし、読者も自分の声を伝えやすい。「ホリデー」に関してもいろんな感想をいただいた。そんな読者の声が新鮮でとてもありがたく思っていた。この企画は説明もないので、解釈は読者の自由な受け取り方に委ねている。そんな環境でもちゃんと伝わっているってわかることは励みになるし、次の写真への活力になる。

連載していくなかで、頭を悩ますことが2つあった。
1つは「本のノド」。「ノド」とは、本を見開きにした時の綴じ部付近のことをいうのだけど、写真の真ん中の部分がちょうどノドにかかる。僕の写真のクセで、見せたい被写体を真ん中にもってくることが多いから、そのおいしい部分が隠れてしまう。そこを意識して撮影するのは、とても神経質になっていた。
もう一つは「季節」。例えば「暮しの手帖3号」は11月25日に店頭に並ぶことを想定しているので、いろいろと逆算して写真の候補を提出するのは9月中頃になる。ということは、撮影できるのは8月、9月前半。真夏でとても暑い時期。でもみなさんが雑誌を見るのは12月くらい。この季節のギャップを埋めるために、1年前に1年後に掲載するものを撮影していた。リアルタイムではなく、1年の時間差で発表するのが少しもどかしかった。おもしろい写真を早く発表したい気持ちもあるけど、季節外れの写真はいかがなものかと思い、来年まで我慢しようと思った写真はたくさんあった。

雑誌での連載が終わってしまったけど「ホリデー」を撮らなくなるかといったらそうではない。学生のころからライフワークのように写真を撮ってきた。だから、発表する場所を自分のwebサイトに作り、このページで新作を連載していくことにした。webなので「ノド」も「季節のズレ」も気にせずの自由に発表していこうと思う。
とてもシンプルなページなので、ちゃんと伝わってくれたら嬉しく思う。