Nobuto Osakabe Photographer

ベジ

インドに行って、はじめてベジタリアンの人に出会った。
インドは、住民の約40%がベジタリアンで、ヒンドゥー教やジャイナ教を信仰している人たちが多い。肉や魚など生きものは食べない。卵や乳製品も食べない。でも、ベジタリアンのなかには魚は食べてもいいとか、卵はダメだけど乳製品は大丈夫という人もいる。その人が何を食べる、何が食べられないかは、その人の家系(宗教やカースト)によって決まっている。
僕らのガイドさんは、ベジタリアンで肉魚卵は食べないけど、乳製品はOKの人だった。彼はお酒も少し飲んでいた(本当はだめみたいだけど)。彼はデリーから少し離れた村の出身で、その村は村人全員ベジタリアン。だから彼は、ベジタリアンが当たり前で、野菜・果物・豆類・ナッツなど植物性の食材以外見たことがなかった。今でこそ、テレビやインターネットで他の地域の情報を得られるけど、そのようなツールがない場合は、自分の目で見たものしか知ることができない。彼は、仕事をするようになり、昼ご飯で同僚の持参したお弁当に白い丸い物体が入っているのをみた。それが初め何かわからず、何かの実なのと思ったらしい。同僚にそれが「ゆでたまご」と聞いて、はじめてたまごを食べる人を見たと言っていた。翌日からその同僚とは一緒に食事をすることができなくなったらしい。また彼の奥さんも、同じ村の出身で、もちろんベジタリアン。ほとんど村からでたことがなく、家の外で食事したことがなかった。レストランに初めて行った時、メニューのほとんどが初めて見る料理で一口も食べられなかったそうだ。
日本に住んでいて、本当のベジタリアンと接する機会ってあまりないと思う。信仰とはいえ、肉魚卵、乳製品を食べないのってかなりの食制限だと思う。パンもパスタも食べられないし、和食でいう魚の出汁も食べられない。出汁を使う蕎麦やうどんも食べられない。僕は、いろいろ食べられないのは損していると思ってしまったけど、そもそも、彼らからすると僕らが食べ物ではないものを食べていると思っているようだ。
35年間生きてきて、いろんなことを少しは知っている気になっていたけど、インドでの多くの初体験は自分のキャパシティーを広げてくれた。まだまだ知らないことがたくさんある。また他の国に行きたい。新しいことを知りたい。