昔から誰かの真似するということをあまりポジティブに思っていないところがある。ものまねのテレビ番組もあまり好きではなかったし、真似=偽物って勝手に思ってしまう傾向にあるのかもしれない。
写真を撮りだしてからは特にその思いが強くなった気がする。真似をすることで技術的な上達は早い。でも同時に全く見たことないものを生み出す力は弱くなっていく。どこかで見たことあるものは、おもしろいと思われない。真似している段階ではまだまだで、まだ見ぬ新しいものに飛び込み勇気みたいなものの先に自分だけの表現があるのかもしれないって思っている。
2歳と6ヶ月になった息子は、今まさにものまね全盛期。誰かの話している言葉や行動を真似ばかりしている。最初はオウム返しのように僕らの話していることを同じように返していた。歌もよく歌っているが言葉の意味なんてわかっていないと思う。音を真似ているんだと思う。4、5月は自粛により保育園にも行っていなかったので、うちで映画ばかりみていた。6、7月になり保育園も再開したし、外に行くことも増えたが雨の日が多く、息子は長靴を好んではいていた。最初は長靴を気に入ってはいているんだけど、少し経つと脱いでしまう。道路を裸足でよく歩いていた。東京の道を裸足で歩く2歳児、なんとも野生的な子。靴をはくように何度言っても聞かないので、僕は本人が好きなようにしたら良いと思いそのまま歩かせていたけど、すれ違う人の目は様々だ。実際道にはいろんなものが落ちている。踏んで怪我しそうになるものの多いので心配だ。そして水たまりがあると一目散に飛び込んでいく。いつかは靴をはくようになるだろうと思っていたが、あるとき息子が裸足で走りながら「ポニョ」と叫んでいた。その時、僕の頭の中にジブリのポニョの映像が浮かんだ。僕は、息子は靴が嫌なんだとずっと思っていた。だけど、息子はポニョの真似をしていたんだ。思えば映画の中でポニョはずっと裸足だ。家の中でも、道路でもペタペタと裸足で歩き回っている。息子はポニョになりたかったのか。真似をするって意外と創造的なことなのかぁと思えてしまった。
8月になり暑い日が続き、靴を脱ぎたがる息子は靴をはくようになった。理由は地面が熱すぎるからだと思う。一瞬脱いで裸足になるが、熱すぎて歩けないので「あっつい」と言ってしぶしぶはいている。
息子は、これからもたくさんの真似をして、いろんなことを感じるんだろう。欲を言えば、たくさん真似をした先にある自分なりのオリジナルをいつか見つけられたらいいなぁと思う。