先日、知人の家で餅つきをすると聞いたので、家族でお邪魔した。
子どもたちにとっては、はじめての餅つき。僕も餅つきは、2016年の岩手での撮影以来5年ぶり。餅つきをみるのも、つきたてのお餅を食べるのも滅多にない機会なので、楽しみに向かった。
庭先には、数百キロはありそうな年期の入った立派な石臼。そこにあたたかいお湯をいれて、臼をあたためていた。僕のいる方向からは、逆光で、湯気がキラキラして見えた。重たい臼は、お湯を捨てるのも一苦労。お湯をすてた後、乾いた布で丁寧に水気をとっていた。その時、厨房の方から、真っ白な布に包まれた蒸し立ての餅米が登場した。辺りに餅米のいい匂いが、一気に広がった。素早く石臼に投入された餅米は、2人の大人に杵でグリグリとこねられて、徐々に米粒の形を失っていく。全体が一つにまとまったら、そこからリズミカルな餅つきが始まった。この一連の流れを、息子は食い入るようにみていた。はじめてみるものに好奇心旺盛なのは、彼の良いところだと思う。ハイっ、ドスン。ハイっ、ドスン。ハイっ、ドスン。どんどん粘り気が増していき、ふわふわのお餅が出来上がっていく。ある程度仕上がったところで、餅のつき手を募ってくれたので、息子は先陣切って臼に向かって行った。まだ一人では杵を持てないので、祖父と2人でついた。まだ3歳だからあまりうまくつけず、長続きしなかったけど、はじめての餅つき体験は楽しそうに見えた。杵を通して、お餅の柔らかな感触が伝わったのか、息子はつくことよりも早く食べたいという気持ちにシフトしているようだ。つきたてのお餅は、餅粉がびっしり敷かれた作業台にボタっと置かれた。すぐに固まってしまうので、急いで丸めていく。周りの人に協力してもらいながら、息子も自分で食べるお餅を丸めていた。作業台には、磯部、きなこ、大根、カレー、あんこ、チーズなど様々なお餅が作れるようになっていた。僕たちは、あんことデザート用の苺を入れた苺大福を作った。ふわふわのお餅にいっぱいあんこを入れて、真ん中に苺を置いて、お餅を伸ばして包みこむ。完成して一口食べてみたら、かなりの美味。自分で作りあげた息子も、早速口に頬張っていた。よほど美味しかったのか、どんどん食べようとする。お餅を喉に詰まらせては困るので、用心しながら食べさせた。あっという間に1つ平らげてしまった。今まで食べた苺大福の中では、かなりの上位の味だった。それは息子がついたり、つきたてのお餅を自分で包んだりして、何より家族の楽しい時間が、より美味しくさせているんだと思った。それはどんな有名な繁盛店にも作れない味だ。
食べ終えてすぐにもう1回食べたくなって、2つ目の苺大福を作った。息子も、もう一つ作っていて、なんと中に2個のイチゴを入れようとしていた。ほんと欲張りだ。